この生活

2011 4月 4
by kanazu

「お元気でしょうか?」
という何気ない一言が、言葉以上に重い意味をもつ昨今ではありますが、それでもやはり私は「お元気でしょうか?」と問うことを大切にしていきたいと思っています。

寺田寅彦の随筆「柿の種」に次のような一節があります。

 歩きながら、店々に並べられた商品だけに注目して見ていると、地震前と同じ銀座のような気もする。
 往来の人を見てもそうである。
 してみると、銀座というものの「内容」は、つまりただ商品と往来の人とだけであって、ほかには何もなかったということになる。
 それとも地震前の銀座が、やはり一種のバラック街に過ぎなかったということになるのかもしれない。


関東大震災の後に書かれたこの一節を、科学者の客観的な考察と感じることは容易いのですが、私はそれよりも生活のある一人の人間として、同じ地平に立った眼差しから生まれた、人々とその営みへの想いであると感じています。

時間と空間にささやかに、しかし暖かい灯をともすことを、私は続けていこうと思います。
音は、そして私たちの想いは偏在しており、それはすなわちどこにでもあり、またどこにもないものであると思います。
だから私はこの生活をおくり、音を紡ぎ、それが良いカタチで届けばと願っています。

この度の震災に被災された全ての方へ、心よりお見舞い申し上げます。

2011年4月 金津朋幸

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